生地のおさらい

どちらも1枚生地です。3層や5層構造にしない理由はこちら
ストレッチ素材を使用しない理由はこちら
防炎タイプの生地は扱っておりません。理由はこちら

ご注文いただくボディカバーは、基本的にTT-9000(裏起毛)生地でのお作りになります。

TT-9000(裏起毛)生地

我が仲林工業が、裏起毛生地のボディカバーを最初に開発致しました

オリジナル技術により、ポリエステル100%素材での裏起毛加工を1枚生地から実現したTT-9000(裏起毛)は、何層構造といった無駄な合わせ生地ではなく、丈夫なうえに軽量でコンパクト、扱いやすく、強力防水3回加工という防水効果にも優れたボディカバーのための最高級生地です。
現在、注文いただける生地の選択肢はこれだけという、自信作でもあります。

他社の起毛カバーを使われたお客さまの中には、劣化につれて起毛が生地から分離し、粉状の埃となってお車が大変な事態になった、という方が少なくありません。
TT-9000(裏起毛)は、特殊ブラシによる引っかきによって生地そのものから直接起毛を毛羽立たせている本物ですので、使用年数が経っても分離せず、最後まで起毛のままお使いいただけます。
また、生地表面には太陽光線をはじく特殊コーティングや優れたはっ水加工を施し、過酷な悪天候にも対応。
値の張るカバーでも、命である生地が良くなければカバーとして逆効果となります。本気で愛車を守る方には、仲林工業のTT-9000(裏起毛)をオススメ致します。

──思ったよりもモコモコしてない?

起毛のもっと「モコモコ」感を期待されたお客さまからたまにお尋ねいただく内容です。
TT-9000(裏起毛)は、加工の際、生地そのものから毛羽立たせた後、「シャーリング」といって、毛先をあえてカットしています。この工程を行わなければ、見た目はもっと「モコモコ」、「ふさふさ」になります。
コストもかかるのにあえてこの工程を行うのは、必要以上に毛を長くしても、塗装へのダメージに差がないことがわかっているためです。反対に毛が長すぎると、着脱の際などに巻き込んだ塵や砂を逃しにくく、結果的に塗装へのダメージリスクを増やしたり、こもった湿気を抱えてカバー内側が水っぽくなってしまいます。これらのデメリットを回避するためでもあります(モコモコ、ふさふさにすれば塗装に良いというわけではないのです)。
多種の効果を見合って、昔から調整されております起毛の長さですので、ご安心ください。

また、あまりに毛が心許ないと感じる時は起毛が「寝ている」可能性がありますので、起毛面同士を張り合わせ、軽く擦り合わせてから本を見開くように剥がしてみると、起毛の立つ場合があります。

注意

  • カバーは防水加工していますが、完全防水ではありません。完全防水にすると、カバーの内側と外側との温度差によって塗装の光沢がなくなったり変色したりする恐れがあるため、あえて通気性を保っています。
  • 生地自体にははっ水加工を行っておりますが、ミシン目、ミシン糸(特にそれらの集中するミラー袋周辺)から雨水が侵入することがあります。また長時間降りつづいた雨や豪雨の後は、雨水の侵入する可能性は高くなります。使用年月が過ぎれば過ぎるほどミシン糸の通ったミシン目は広がり、そこから雨水の入る量も増えます。
  • カバー掛けはじめの初期に、白い繊維がお車のボディに付着する場合がありますが、これは生地から抜けた起毛というより、裁断・縫製時に発生した繊維が静電気等によってカバー内部に付着していたものです。出荷前にできるだけ取り除くよう検品しておりますが、特に静電気の発生しやすい時期等には取り切れず、ボディに目立って付着してしまうようです。この繊維の付着は初期の頃だけで、使用につれてだんだんとなくなっていきます。
    (仲林工業の起毛ボディカバーは、劣化によって裏起毛が抜けることはありません)
  • 優しい裏起毛により傷が付きにくい設計になっておりますが、絶対に100%傷付かないことを保証するものではありません。もっとも、TT-9000(裏起毛)生地は、通常にご使用いただいて傷が付くことはまずありません。
  • 起毛生地は、白い縦糸と横糸を織り込み一枚の生地に仕上げています。2011年下半期に生地の基となる縦糸、横糸が生産場所変化等のためにそれ以前よりも一本一本が締まり、(ごくわずかですが)細くなりました。そのため、2011年上半期以前のカバーを使用されたことのあるお客さまの中には、ごく少数の方ですが、その時よりも現在の生地が薄くなったという印象をお持ちになられることがあるようです。ただ、白糸一本が締まったことによるわずかな変化で、糸の強度・耐久性や表面の加工等、カバーとしての効果に変化はありませんので、ご安心ください。
  • 2012年より特に生地表面のコーティング加工の検品を強化致しました。

生地の特殊性ゆえ発生する現象を紹介致します。
ミシンや機械のオイル等によって多少の黄ばみや茶色い痕が付着している場合がありますが、検品の際、使用上、問題がないと判断したうえでカバーを仕上げています。これら黄ばみや茶色い痕、また下記に挙げている内容でお車に問題が起こったことは過去50年以上の実績のなかでもいちどもありませんので、ご安心ください。

起毛くずが固まってコーティングの間に挟まっています。TT-9000(裏起毛)生地は3回コート。つまり3度に渡って、はっ水性や紫外線を弾く溶剤、熱を遮断する溶剤等、さまざまな効果を見込んだ油性塗料をコーティングします。その際、いくら生地をきれいに保っていても、起毛のくずが繰り返しのコートの間に挟まってしまうことがあります。
こちらも起毛くずですが、上のものとはちがい、やや散った印象です。
発生理由は同じです。
塗料の欠片が付着しています。
さまざまな効果を見込んだ油性塗料はコーティング前にしっかりと攪拌致しますが(この時はどろどろとした、液体というよりはボンド的塗料です)、マシーンの内側に付着し乾燥したほんのわずかな欠片がコートの際に付着する場合があります。
コートの際に、原反(生地の巻物)の進行がわずかに揺れたり、コーティングマシーンの一瞬の振動によって「筋」となって発生したものです。
こちらもカバー効果には影響ありません。
TT-9000(裏起毛)生地の塗料はデリケートかつ敏感。
配合の内容物を変えていなくとも、特に夏場と冬場では目に見えて仕上がりのカラー濃度に差異が出ます。
昔はシーズンごとに異なっていたのですが、この頃は天候や気温の変化が激しいため、同じロットの中でも微妙にカラーのちがいが見られるようになりました。
このブルーシルバー色は光の射し具合によってもカラー濃度を変えます。パーツごとによっては若干の濃度のちがいが見られる場合があります。
油性塗料の一部が筋状に垂れて付着しています。これも3回コートの際に必然的に発生致します。
光の反射によって、銀色に見て取れることもあります。
こちらは油性塗料の部分的な膨らみです。
こちらも油性塗料の一部が筋状に垂れて付着しています。いずれも3回コートによる所以です。
油性塗料ではなく、生地の一部の織りが若干、偏ったことによる膨らみです。溝のように凹みとなって現れる場合もあります。
裏面がこちら。線状ではなく球状になっていたり、若干変色している場合もあります。
全体的に起毛は発生しており、お車のボディに対しても問題ありません。
こちらは原反となる生地の工程(カバーを仕上げる際の工程ではなく、材料としての生地を作り出す際の工程)時に付着した筋になります。
いわゆる「汚れ」にはちがいないのですが、1枚生地での効果を生み出すために仲林工業の生地は表面の加工(塗料のコーティング)、裏面の加工(起毛の掻き上げ)に、それぞれ繰り返し機械を通します。もちろん機械自体はメンテナンス・清掃を行っているものの、必要なオイルや摩擦熱等により、このような「汚れ」が付着することがあります。あまりに目立つ場合は省いていますが、わずかな「汚れ」でも省いているとその分、製品単価が上がったり、縫い目が増えてしまったりするため、写真のレベルであればそのまま使用し、カバーを仕上げています(写真は実際に仕上げたカバーで、右斜め上に向かって走っているのは2本針による縫製ラインです)。
当然ながら、お車へダメージや問題が起こることもなく、カバー的効果にも影響はありませんのでご安心ください。
こちらも生地の一部の織りの偏り。上の状態とちがい、溝のように一直線に凹みとなって現れる場合もあります。表面のコーティングはきちんと行われており、生地的にも問題はありません。
裏面の起毛部分。織りが若干、偏っています。
こちらも効果・使用上問題ありませんのでご安心ください。
こちらは傷ではなく、原反を巻いたときについた皺です。
TT-9000(裏起毛)生地は薄手の1枚生地ですが、いわゆる巻物となって納品される際、柔らかな生地の特性上、巻き皺が発生し、生地にその癖がついてしまうことがあります。
この皺はボディカバーとしてお車に装着しているうちに自然と解消されます。
上記の皺ですが、実際に軽く引っ張れば何も問題はなく、皺の癖がついただけであることがわかります。

E-5000生地

E-5000生地のボディカバー販売は、2018年10月9日をもちまして終了致しました。理由についてはこちら
ただ、TT-9000(裏起毛)生地と同額でよければお作り可能です。


TT-9000(裏起毛)には劣るものの、ボディの大敵ともいえる太陽光線をシャットアウトするアルミ箔樹脂加工のほか、防水加工を2回(TT-9000(裏起毛)は3回)施したシルバー色の生地。
ポリエステル100% 250デニール(糸の太さ)厚手です。

霜や雪、夜露を防ぐことはもちろん、お車の塗装の変色、内装の変色をも守ります。

注意

  • カバーは防水加工していますが、完全防水ではありません。完全防水にすると、カバーの内側と外側との温度差によって塗装の光沢がなくなったり変色したりする恐れがあるため、あえて通気性を保っています。
  • 生地自体にははっ水加工を行っておりますが、ミシン目、ミシン糸(特にそれらの集中するミラー袋周辺)から雨水が侵入することがあります。また長時間降りつづいた雨や豪雨の後は、雨水の侵入する可能性は高くなります。使用年月が過ぎれば過ぎるほどミシン糸の通ったミシン目は広がり、そこから雨水の入る量も増えます。

1枚生地とのこと、なぜ何層構造にしないのか?

年々よく頂戴するご質問ですのでお答えします。もっとも、これは弊社生地ではないため、あくまで仲林工業の見解としてご参照ください。
結論を申しますと、「層」にする必要がないからです。

──でも、よそでは3層や5層構造を謳っているが?

何層構造の生地を扱われている他社さまは、弊社でもいくつか確認させていただいております。
はっ水性を持たせた生地、紫外線防止の生地、裏起毛の付いた生地等、役割を持った生地を重ねて「層」にし、ボディカバーとしての効果を見込むものですが、それは結果的に「層」になっただけで、あえて「層」にするために生地を効果別に分けているわけではないと考えます。
と言いますのも、はっ水性も紫外線防止加工も裏起毛も通気性も、1枚の生地で実現可能だからです(仲林工業の生地が実際にそうです)。
ですので、層「だから」良いということはないと思われます。少なくとも仲林工業からすれば層「だから」生まれる利点は想像つきません。
何枚かの生地を重ねるため、強さや重厚感が増すことはあります。それを利点と感じるお客さまもおられるでしょう。しかし、強さや重厚感も織りの糸(繊維)を調節すれば、これも1枚生地で実現可能です。

──では、なぜ「層」が良いように謳うのか?

申し訳ございませんが、それは実際に何層構造の生地を扱われておりますメーカーさまにお問い合わせください。
カバーユーザーさまのなかにも「層」が良いように思われている方がおられ、私自身、直接、どう良いのか尋ねたところ、返答をいただけないことがありました。ただ、なんとなく「層」が良いように感じておられたようです。
仲林工業としましては、ボディカバーの効果を見込む生地としてあえて「層」にする必要性を感じず、また層「だから」こそ生まれる利点が見つからないという判断から、現状の1枚生地をつづけております。

──反対に、層「だから」こそのデメリットで考えられることは?

何層構造のカバーを使われているユーザーさまから聞いた内容でお答え致します。
よく聞くのが、カバーが傷んできたときが大変、というものです。「層」になったそれぞれの生地がバラバラに崩れ、処理するにも大仕事だったそうです。また起毛が不織布等であれば老朽化により細かな埃状と化し、車のボディが粉まみれとなることも多いです。
1枚生地であれば傷んできたとしても生地が裂ける程度で余計な後処理はありませんし、仲林工業の起毛は生地から掻き上げた本物ですので、分離して粉まみれになることはありません。
また永年使用しているとカバーはどんどん汚れていくのですが、「層」であれば「層」の間に細かな塵や汚れが侵入して蓄積した時、取り除けない、と指摘するユーザーさまもおられます。結果、「層」のカバーを外すと生地を通るほどの細かな塵が、いつも車のボディ表面にうっすらと付くようになったそうです。
これも1枚生地であれば、メンテナンスにより極力、塵や汚れを取り除くことが可能です。
もっとも他社製品の構造により一概に言い切れない内容ですので、こちらも実際に何層構造の生地を扱われておりますメーカーさまへお問い合わせ、ご確認ください。


ストレッチ素材を使用しない理由

ストレッチ素材の生地を使用すれば、カバーとしてのフィット感は格段に上がります。しかしそれを採用しないのは、車体へフィットしている=ボディカバーとして優れているとは限らないからです。
ブログで公開している作業時でも、実はフィット感を目指して作ってはおりません。
「カバーの効果がもっとも見込める構造」を目指した結果、フィット感が生み出されるだけで、フィット感を目指して作成した結果、「カバーの効果がもっとも見込める」ものになるとは限らないためです。

トレーニング用ウェアとして例えばアンダーアーマーのコンプレッション(スパイダーマンがまとうぴったりとボディラインにフィットするタイプのシャツ)は、ストレッチ素材を活かしたウェアですが、胸の谷間は浮きが出て、肩周りや脇の下は最初窮屈なくらいに張りついたりと、テンションが均一ではありません。ただ、人間は車両と異なり腕の上げ下げや胸板の厚みの変化を伴った呼吸を行いますので、テンションの散らばりがあっても(むしろ)効果が出ます。
車両は外装を変形しながらの運動は行わず、そこにテンションの散らばりが絶えずかかるものとなります。

ストレッチ素材だからこその難点が……

仲林工業でストレッチ素材で試作した際にネックになったのは、「縫い目」によりさらなる不均等な負荷が発生することでした。
上記のウェアを着用された経験のある方ならご存知かと思うのですが、首や肩周り、脇腹など、縫製ラインに初めは圧迫というか、時にはかゆみの伴った違和感が発生することがあります。
カバーも同様に、ストレッチ素材に応じた糸や縫製を適用しても、負荷は特に縫製ラインから発生しました。縫製ラインは装着時、常に決まった個所に位置し、そこと触れるボディの一定の個所に他とはちがうテンションを与え続けます。
加えてストレッチ素材の場合、負荷のかかる部分は生地が(引っ張られて)拡がり、そうでない部分は肉眼ではわからなくても収縮しています。生地というのは基本的に縦糸と横糸で構成され、生地が拡がるというのはこの網目が荒くなることを意味します。
雨水等の表面張力のある物質であれば多少荒くなったところで透過は免れますが、太陽光は通り抜けます。人目からは「影」に見えても、光は乱反射を起こし、伸び縮みする生地の網目をかいくぐります。しかも、この網目が荒いところとそうでないところ、つまり太陽光の到達・当たりムラが出るのです。
屋外保管メインの仲林工業カバーとして、この点は厳しい難点となりました。

また起毛付きで試したところ、伸縮によるものか、埃や塵をキャッチした際に取り除くのが困難になりました。ただでさえ起毛は埃や塵を絡み取りやすいもの。目に見えない埃や塵なら、伸縮する縦糸と横糸の隙間にどれだけ挟まることになるのかと、これも難点でした。

トータル的に、伸縮性のない生地で留め具でしっかりと固定した方がボディカバーの総合的な効果として理想的ではないか。生地に伸縮性がなければ、縫製ラインの伸縮もなく、そのテンションが偏ってボディに与え続けることもありません。埃や塵のキャッチも減らせるため、縫い目を設ける以上、ボディカバーとしてはストレッチ素材の利点を活かしきるのは無理があるのでは、というのが仲林工業の至った結論でした。
またカバーは消耗品。仲林工業はコンセプト的にも無駄なコストを上乗せしたくない想いがあります。つまり、効果がそれほど見込めないものによってコスパが悪くなってしまうのも採用に結びつかなかったポイントです。

※あくまで仲林工業で試作した際のお話です。

見た目だけでは判断できない

フィット感が良い(見た目が良い)と、それだけで特に初回装着時、カバーとして優れている印象がしてお客さまからの高評価が得られます(商売上の強味にもなります)。
もちろん間違いではありませんが、、、
フィット感(だけ)のあるカバーを作り出すことは実は簡単で、重要なのは本当にカバーとしての効果が含まれているかどうかです。
ボディカバーの良さは年単位で使用してみなければ判断できない部分があります。仲林工業としては、ボディカバーの効果は目に見えない部分にこそ存在すると考えています。