縫い目・縫製

繰り返しの着脱や過酷な環境に耐えるには、縫製の糸はもちろん、その縫い方も肝要になります。言わずもがな、強めに縫ったからといって実際の品質上、強くなるとは限りませんし、太い糸=強い糸という単純なものでもありません。糸の太さによってはミシン目(穴)が広がり、雨水や汚れの侵入を多く許したり、デメリットが出てきてしまいます。見た目が「強そう」な縫製であっても、実際の使用においてそうでなければ意味がありません。

仲林工業では、45年以上培われてきたノウハウを基に、今でもよりベストな縫製を研究、追求しています。しっかりと縫い合わせるべきところは2本針で、広がったり縮んだりするすそ部分は動きに柔軟な1本針でと、ミシンを使い分けるのはもちろんのこと、ボディカバーとしての効果を見据えた、かつシンプルな縫製を心がけています。
衣類などの縫製関係に詳しくない方からすれば、初見時に「え? こんなものなの?」と思われてしまうかもしれません。

各箇所の縫い目・縫製について解説します。
写真のカバーは「腹下通しの2.8メートル留め具×すそ紐絞り加工」、「膨らみ防止の通気筒」装備の仕様ですが、その他の仕様でも縫い目・縫製は基本的に同じです。

すそ部分。1本針による1本のミシン糸で縫い上げています。
すそ部分の内側。切り端となる箇所は折り返したうえで、1本針で縫い上げています。
同じくすそ部分ですが、こちらはカバーの側面の生地に該当します。ちょうどタイヤやホイールが触れる面のすそです。ひとつ上の折り返しとは少しちがうことがわかります。
反物の織地(生地)は、両側に「耳」というものが存在します。私どもは業界用語で「ブルドーザー」と呼びますが、まさにブルドーザーのタイヤ跡のような「耳」です。穴のようなものも点在しています。これは切り落として上のように折り返しのうえ縫製した方が見た目は美しいのですが、「耳」はまず千切れることも裂けることもない非常な強度を持っています。この強度を活かして、仲林工業は「耳」の利用できる箇所はあえて「耳」を残したままの折り返しを行います。
フロントを示す黄色い三角の内側の縫製ラインです。
カバーのすそは一直線とは限りません。近頃は特に特徴ある形状の車体に合わせて、フロントやリアバンパー下部への入り込みが足りなくならないよう、部分的にすそのラインを変形させたうえで縫製しています。
こちらも同様です。
装着前のこのように広げた状態では、「いびつ」に見える形状に驚かれるかもしれませんが、車に装着して留め具を絞ると、車体のボディをしっかり包むラインとして収まります。
2本針と1本針の縫製ラインが集まっている箇所です。ミラー袋は、着脱時にミラーに引っかかったり負荷がかかったりするため、その動きに対応した1本針で縫製されます。写真の1本針による縫い目は、ミラー袋周辺の一部の縫製ラインです。
上の写真の裏面です。裏面からも、ミシン糸が2列平行に走っているのと、1本だけで縫われているのとがわかります。
生地表面の2本針で縫われた縫製ラインのアップです。
左の生地と右の生地を縫い合わせていますが、左の生地が「瓦」のように右の生地に被さったうえで、2本の糸が通っているのがわかります。
これは私どものなかで文字通り「瓦縫い」と呼び、雨水が流れ落ちる際に、できるだけ縫い目から内部へ侵入しないようにと考慮された縫い方です。つまり、写真で言いますと、車体に装着した際、左側が上(空)、右側が下(地面)になります。縫製ラインにより部分的に異なることもありますが、基本的には「瓦」の役目になるように、この縫製がなされます。
糸自体も使い分けています。2本針の場合、陽射しや雨水が当たりやすい生地表面は、ダメージを軽減するよう染料のついた灰色の糸で、ボディに触れる内面は、白のソフトな糸で仕上げています。
もっとも、灰色の糸もボディに傷をつける材質ではないのですが、永く使用いただいた際のボディへの影響に少しでも差が出ることを考慮し、結果的に使用する糸にも種類を設けています。
膨らみ防止の通気筒の内側です。
出荷時、余分な縫い糸はできるだけカットしておりますが、写真のように飛び出ていることも多々あります。しかしこれは縫製の強度に関係しますので、特にいじらずそのままの使用をお願いします。5cm以上出ているときは、2、3cm残してカットいただいてもかまいません。
バックルのメス型部品の内側の縫製です。
バックルを嵌めたり外したりと、ここも動きのある箇所のため1本針ですが、縫い付け強度も必要なため、2本針ではなく1本針による3回縫いを行っています。